リハビリの仕事をしていると、「この患者さん、退院したあとの生活費は大丈夫なんだろうか」と気になることはありませんか。私も訪問リハビリで、65歳未満で仕事を離れた利用者さんの生活がきちんと成り立っているのを見て、不思議に思った経験があります。
その背景にあるのが障害年金です。病気やケガで生活や仕事が制限される人に支給される公的年金で、リハビリ職が制度の概要を知っておくと、患者さんの生活を支える視点が一つ増えます。
この記事では、セラピストが知っておきたい障害年金の基本と、2026年度(令和8年度)の金額を整理します。
障害年金とは:現役世代も受け取れる公的年金
障害年金は、病気やケガによって生活や仕事が制限されるようになった場合に受け取れる年金です。老齢年金と違い、現役世代でも受給できます。
種類は2つあり、初診日にどの年金制度に加入していたかで決まります。
- 障害基礎年金:初診日に国民年金に加入していた人(1級・2級)
- 障害厚生年金:初診日に厚生年金に加入していた人(1級・2級・3級+障害手当金)
会社員として働いていた人が脳卒中で倒れた場合は障害厚生年金、自営業の人なら障害基礎年金、というイメージです。厚生年金のほうが対象等級が広く、金額も上乗せされます。
受給には3つの要件がある
障害年金は、障害があれば誰でも受け取れるものではありません。大きく3つの要件があります。
- 初診日の要件:障害の原因となった病気やケガで、初めて医師の診療を受けた日(初診日)が特定でき、その時点で年金制度に加入していること。
- 保険料納付の要件:初診日の前日までに、一定期間きちんと保険料を納めていること(原則として加入期間の3分の2以上。特例もあるため個別確認が必要です)。
- 障害の程度の要件:障害認定日(原則、初診日から1年6か月を経過した日)に、障害等級に該当する状態であること。
セラピストとして特に覚えておきたいのは「初診日」がすべての起点になるということです。カルテや紹介状で初診日が確認できないと、請求そのものが難しくなるケースがあります。
肢体の障害の等級は、上肢・下肢・体幹の機能や日常生活動作の制限度合いなどで細かく定められています。詳細な認定基準は日本年金機構「障害認定基準」で確認できます。
いくらもらえる?2026年度(令和8年度)の金額
2026年度(令和8年度)の障害基礎年金の金額は次のとおりです(昭和31年4月2日以後生まれの場合)。
| 等級 | 年額 | 月額の目安 |
|---|---|---|
| 障害基礎年金1級 | 1,059,125円 | 約88,000円 |
| 障害基礎年金2級 | 847,300円 | 約70,000円 |
18歳到達年度末までの子どもがいる場合は、1人目・2人目は各243,800円、3人目以降は各81,300円が年額に加算されます。
障害厚生年金は、1級・2級では障害基礎年金に加えて報酬比例の年金が上乗せされ、条件を満たす配偶者がいれば加給年金(243,800円)も付きます。3級は報酬比例部分のみですが、最低保障額(635,500円)があります。
金額は毎年度改定されます。最新の金額は日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」で確認してください。
セラピストが知っておきたい4つのポイント
1.「もらえますよ」と安易に言わない
受給できるかどうかは、初診日・納付状況・障害の程度を個別に審査して決まります。私たちが外から見て「この人は該当しそう」と思っても、要件を満たさないことはあります。期待させてしまってから受給できなかった場合、患者さんの落胆は大きいです。制度の存在を伝えるところまでにとどめ、判断は専門窓口に任せましょう。
2.診断書を書くのは医師
障害年金の請求には医師の診断書が必要です。セラピストは診断書を作成できませんが、日常生活動作の状況など、リハビリで把握している情報が診断書作成の参考になることがあります。評価記録を丁寧に残しておくことが、間接的に患者さんを支えます。
3.相談はソーシャルワーカー・年金事務所へつなぐ
病院なら医療ソーシャルワーカー(MSW)、地域なら年金事務所や市区町村の年金窓口、複雑なケースでは社会保険労務士が相談先になります。セラピストの役割は、制度を知り、適切な窓口へつなぐことです。
4.リハビリの目標設定にも関わる
経済的な基盤があるかどうかは、退院後の生活設計や復職の計画に直結します。生活背景まで見てリハビリの目標を立てるうえで、障害年金の知識は間違いなく役立ちます。
よくある質問
- 脳卒中の患者さんはいつから請求できますか?
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原則は初診日から1年6か月経過後(障害認定日)です。ただし、症状が固定したと認められる場合など、例外的に早く請求できるケースもあります。個別の判断は年金事務所や社労士に確認してください。
- 働いていると障害年金はもらえませんか?
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働きながら受給している人もいます。等級の審査では就労状況も考慮されますが、「働いていたら必ず不支給」というわけではありません。
- セラピストが手続きを手伝ってもいいですか?
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制度の紹介や窓口の案内は問題ありませんが、請求手続きの代行を業として行えるのは社会保険労務士などに限られます。院内ではMSWと連携するのが基本です。
まとめ:制度を知ることも患者支援のひとつ
障害年金は、初診日・保険料納付・障害の程度という3つの要件を満たしたときに受給できる公的年金です。2026年度の障害基礎年金は1級1,059,125円、2級847,300円で、厚生年金加入者には上乗せがあります。
私たちセラピストの仕事は体の機能を支えることですが、患者さんの生活は経済面も含めて成り立ちます。制度の概要を知り、必要なときに適切な窓口へつなげられるセラピストでありたいですね。
※制度や金額は変更されることがあります。実際の請求にあたっては、日本年金機構の最新情報や年金事務所・社会保険労務士への相談で確認してください。
