理学療法士・作業療法士はケアマネを取るべき?資格保有者がメリット・デメリットを本音で解説

理学療法士や作業療法士として働いていると、一度くらいは「ケアマネの資格も取った方がよいのかな?」と考えることがあると思います。

こんにちは、リハ助マンです。

私は理学療法士として働きながら、ケアマネジャー(介護支援専門員)の資格を取得しました。

資格を取る前は、介護保険の知識が増えて、仕事の幅も広がるのではないかと期待していました。

では、実際に取得して給料や仕事は変わったのでしょうか。

この記事では、ケアマネ資格を取得した理学療法士の立場から、PT・OTがケアマネを取るメリットやデメリット、向いている人、受験資格や勉強方法について本音で解説します。

目次

理学療法士・作業療法士はケアマネを取るべき?

ケアマネの資格を取るべきか悩む理学療法士

最初に結論をお伝えします。

すべての理学療法士・作業療法士が、ケアマネの資格を取る必要はありません。

ただし、次のような人には取得する価値があると思います。

  • 訪問リハビリや通所系サービスで働いている人
  • 介護施設で働いている人
  • 介護保険制度を体系的に勉強したい人
  • ケアマネや他職種との連携を深めたい人
  • 将来的にケアマネとして働きたい人
  • 管理職や介護事業所の運営に関わりたい人

一方、病院やクリニックの臨床を中心に考えていて、介護分野へ移る予定がない人は、無理に取得しなくてもよいでしょう。

特に、資格を取ればすぐに給料が上がると思っている人は、少し慎重に考えた方がよいと思います。

大切なのは資格の数を増やすことではなく、取得した資格を自分の仕事やキャリアにどう活かすかです。

私がケアマネの資格を取った理由

私がケアマネの資格を取得したのは、訪問看護ステーションで働いていた時代です。

当時の職場では、理学療法士・作業療法士は私一人でした。そのため、リハビリに関することだけでなく、介護保険制度についても自分で調べて対応する必要がありました。

資格を取ろうと思った主な理由は、次の2つです。

  1. 介護保険制度をしっかり勉強したかったから
  2. ケアマネの役割や考え方を理解したかったから

訪問分野で働いていると、複数のサービスを利用できるのか、同じ日にサービスを入れてよいのか、ケアプラン上でリハビリに何が求められているのかなど、さまざまな疑問が出てきます。

そのたびに調べることもできますが、私は一度、介護保険制度を体系的に勉強した方がよいと考えました。

また、ケアマネの仕事や立場を理解することで、連携もしやすくなるのではないかと思ったことも受験した理由の一つです。

ケアマネを取得して実際に変わったこと

ケアマネ資格を取得して変わったこと

私がケアマネ資格を取得して変わったことは、主に次の3つです。

  1. 介護保険制度の全体像が分かるようになった
  2. 利用者の生活を広い視点で考えやすくなった
  3. ケアマネの立場を考えて情報共有できるようになった

資格を取得しただけで、介護保険制度のすべてを理解できるわけではありません。

それでも、要介護認定やケアプラン、居宅サービス、施設サービスなどを一通り勉強したことで、制度の全体像は見えやすくなりました。

名刺にも「介護支援専門員」と書けるようになり、ときどき「ケアマネも持っているんですね」と言われることもあります。

ただし、資格を取ったからといって、仕事の依頼が急に増えたわけではありません。給料も特に変わりませんでした。少しは期待していたのですが、そこは残念でした。笑

私にとって一番の収穫は、収入ではなく、理学療法士として利用者を見る視点が増えたことだったと思います。

理学療法士・作業療法士がケアマネを取るメリット

介護保険制度への理解が深まる

ケアマネ試験では、介護保険制度、要介護認定、ケアプラン、各種サービスなどを幅広く勉強します。

訪問リハビリや通所リハビリ、介護施設などで働いているPT・OTにとって、介護保険の知識は実際の仕事にもつながります。

制度を知ることで、自分が提供しているリハビリだけでなく、利用者が受けているサービス全体を考えやすくなります。

利用者の生活全体を考えやすくなる

理学療法士や作業療法士は、身体機能や動作能力に目が向きやすい職種です。

もちろん、それ自体は悪いことではありません。

ただ、ケアマネジメントを学ぶと、本人の希望、家族の介護負担、住環境、経済面、利用しているサービスなど、生活全体を考える視点が身につきます。

「歩けるようにする」だけでなく、歩けるようになった先に、どのような生活を送りたいのかまで考えやすくなるのはメリットです。

ケアマネや他職種との連携に役立つ

ケアマネの役割を知ることで、相手がどのような情報を必要としているのか分かりやすくなります。

リハビリの評価結果だけでなく、次のような情報も伝えられるようになります。

  • 現在の生活で困っていること
  • 家族の介護負担の変化
  • 自宅でできることと難しいこと
  • 福祉用具や住環境調整の必要性
  • サービスの追加や変更を検討した方がよい状況

資格を取っただけで連携が上手くなるわけではありませんが、ケアマネの視点を理解する助けにはなります。

将来のキャリアの選択肢が増える

ケアマネ資格を取得しておけば、将来的に居宅介護支援事業所や介護施設などでケアマネとして働く選択肢が生まれます。

年齢や体力、家庭環境によって、今後働き方を変えたくなる可能性もあります。

すぐに転職しなくても、臨床以外の選択肢を持っていることは、将来の安心材料になるでしょう。

また、管理職や介護事業所の運営に関わる場合も、介護保険制度やケアマネジメントの知識は役立ちます。

ケアマネ資格を取得するデメリット

試験勉強に時間がかかる

介護分野で働いていないPT・OTにとって、ケアマネ試験は簡単ではありません。

病院勤務の場合は、介護保険サービスの名称や制度に馴染みがなく、まず用語の意味を理解するところから始める必要があります。

働きながら受験する場合は、ある程度まとまった勉強時間を確保しなければなりません。

試験合格後の実務研修が大変

ケアマネは、試験に合格しただけですぐに実務へ就けるわけではありません。

試験合格後に、87時間以上の介護支援専門員実務研修を修了する必要があります。

私が受講したときは、平日に何度も研修があり、そのたびに有給休暇を取得して、訪問リハビリの予定を調整していました。

さらに、ケアプランの作成など、研修時間外に取り組む課題もありました。

研修の日程や費用は都道府県によって異なりますが、試験勉強だけでなく、合格後にも時間と費用がかかることは知っておいた方がよいでしょう。

給料に反映されるとは限らない

理学療法士や作業療法士として勤務する場合、ケアマネ資格を取得しても給料に反映されるとは限りません。

勤務先によっては資格手当が付くこともありますが、PT・OT業務にケアマネ資格が必須でなければ、手当が出ない職場もあります。

収入アップを主な目的にするなら、受験前に勤務先の資格手当や、ケアマネとして働いた場合の求人条件を確認しておきましょう。

仕事で使わないと知識を忘れる

試験では、介護保険に関する幅広い知識を覚えます。

しかし、仕事で使わない知識は少しずつ忘れてしまいます。私も試験のときは覚えていたのに、現在はすぐに答えられない内容があります。笑

制度も改正されるため、資格を取ったあとも最新情報を確認し続ける必要があります。

ケアマネ取得がおすすめの理学療法士・作業療法士

  • 訪問・通所・介護施設で働く人
    介護保険やケアプランに触れる機会が多く、学んだ内容を仕事で活かしやすいです。
  • 将来的にケアマネとして働きたい人
    PT・OTとして培った身体機能、動作、住環境、福祉用具の知識をケアマネジメントに活かせます。
  • 管理職や事業所運営に関わりたい人
    介護保険制度や各サービスの役割を理解していることは、事業所を管理するうえでも役立ちます。
  • 臨床以外のキャリアも用意したい人
    今すぐ転職しなくても、将来の働き方を考えるうえで選択肢が増えます。

ケアマネ取得を急がなくてもよい人

  • 病院やクリニックの臨床を中心に働きたい人
  • 今後も介護分野へ移る予定がない人
  • まずはPT・OTとしての基礎を身につけたい人
  • 資格取得による即時の収入アップだけを期待している人
  • 試験勉強や実務研修の時間を確保できない人

特に新人PT・OTは、焦ってケアマネを目指す必要はありません。

そもそも受験には一定の実務経験が必要です。まずはリハビリ職として患者さんや利用者さんを担当し、医療・介護の現場を経験していきましょう。

そのなかで介護保険や地域支援に興味が出てきたら、取得を検討すればよいと思います。

理学療法士・作業療法士がケアマネになる方法

ケアマネとして働くまでの基本的な流れは、次のとおりです。

  1. 受験資格を満たす
  2. 介護支援専門員実務研修受講試験に合格する
  3. 介護支援専門員実務研修を修了する
  4. 都道府県へ資格登録を申請する
  5. 必要な手続きを行い、ケアマネとして働く

受験資格は5年以上かつ900日以上が基本

理学療法士・作業療法士は、対象となる国家資格に基づく業務について、原則として通算5年以上かつ900日以上の実務経験が必要です。

単に資格を取得してから5年が経過すればよいわけではありません。資格登録後に対象業務へ従事した期間と日数が確認されます。

勤務形態や業務内容によって判断が異なる可能性もあるため、受験する都道府県の最新要項を必ず確認してください。

【2026年時点の最新動向】ケアマネ人材の不足を受けて、国の検討会では受験に必要な実務経験を「5年以上かつ900日以上」から「3年以上かつ540日以上」へ短縮する案が議論されています。ただしこれはまだ検討段階で、2026年度の試験は従来どおり5年・900日が必要です。制度が変わるとしても2027年度以降の見込みなので、「短縮されてから受けよう」と待つより、要件を満たしているなら受けられるうちに動くほうが確実です。最新情報は厚生労働省と受験する都道府県の発表で確認してください。

試験日や費用は都道府県によって異なる

試験日、申込期間、受験料、実務研修の費用などは、年度や都道府県によって変わります。

例えば、大阪府の2026年度試験は2026年10月11日に実施され、受験料は13,400円でした。

この記事を読んでいる時点では情報が変わっている可能性があるため、申込前に都道府県の公式情報を確認してください。

大阪府|介護支援専門員実務研修受講試験のお知らせ

ケアマネの更新制は廃止されます

2026年には、ケアマネジャーの更新制を廃止する法律が成立しました。

これまでの制度では介護支援専門員証に有効期間があり、資格を更新するためには研修の受講が必要でした。

改正後は、研修受講を資格更新の条件とする仕組みが廃止され、一度交付された資格が有効期限によって失効することはなくなります。

ただし、「更新制がなくなる=研修がすべてなくなる」という意味ではありません。

ケアマネとしての知識や質を保つため、定期的な研修は内容や受講方法を見直したうえで継続される予定です。

更新制廃止に関する施行日は、法律の公布後1年6か月以内に政令で定める日とされています。具体的な運用については、今後の厚生労働省や都道府県からの案内を確認する必要があります。

厚生労働省|ケアマネジャー更新制の廃止・研修の見直し

理学療法士がケアマネ試験に合格した勉強方法

理学療法士がケアマネ試験を勉強する方法

私が受験したときは、最初に参考書を最初から読んで勉強しようとしました。

しかし、読むだけではなかなか頭に入らなかったため、途中から問題集を中心とした勉強方法に切り替えました。

具体的には、次の流れです。

  1. まず問題を解く
  2. 間違えた理由を確認する
  3. 分からない制度や用語を参考書で調べる
  4. 数日後に同じ問題を解き直す
  5. 過去問を繰り返して苦手分野を把握する

この方法がすべての人に合うとは限りませんが、私は問題を解きながら知識を増やす方が理解しやすかったです。

病院勤務などで介護保険に馴染みがない人は、細かい数字を暗記する前に、次のような制度の全体像を整理しておくとよいでしょう。

  • 介護保険制度を運営しているのは誰か
  • 要介護認定はどのように行われるのか
  • 居宅サービスと施設サービスには何があるのか
  • ケアマネはどのような役割を担うのか

独学が不安なら通信講座も選択肢です

自分で勉強の範囲を整理するのが苦手な人や、仕事をしながら計画的に進めたい人は、通信講座を利用する方法もあります。

U-CANでは、教材や学習スケジュールに沿って勉強を進められます。独学だけでは不安な人は、講座内容を一度確認してみてもよいでしょう。

理学療法士・作業療法士とケアマネに関するよくある質問

ケアマネ資格を取ると給料は上がりますか?

資格を取得しただけで、必ず給料が上がるわけではありません。

資格手当を設けている勤務先もありますが、PT・OTとして勤務する場合は、ケアマネ資格が給与に反映されないこともあります。

収入アップが目的なら、勤務先の資格手当やケアマネ求人の給与条件を事前に確認しておきましょう。

病院勤務でもケアマネを取る意味はありますか?

退院支援や地域連携、介護保険サービスへの理解には役立ちます。

ただし、日常業務で介護保険に触れる機会が少ない場合は、訪問や介護分野で働く人より取得の優先順位は低くなるでしょう。

PT・OTとケアマネのダブルライセンスは強みになりますか?

身体機能、基本動作、住環境、福祉用具などを評価できる点は強みになります。

一方で、資格を2つ持っているだけで高く評価されるとは限りません。リハビリ職としての知識を、ケアプランや多職種連携にどう活かすかが大切です。

ケアマネ試験は独学でも合格できますか?

独学での合格は可能です。私も問題集を中心に勉強して合格しました。

ただし、介護保険制度に馴染みがない人は、用語を理解するところから始める必要があります。余裕を持って勉強を始めた方がよいでしょう。

理学療法士・作業療法士はケアマネを取るべきかのまとめ

理学療法士とケアマネジャーの資格

今回は、理学療法士・作業療法士がケアマネの資格を取るべきかについて、私の経験を交えて解説しました。

ケアマネに限らず、資格をどうキャリアと収入につなげるかは理学療法士のキャリアプランの考え方で整理しています。また、ケアマネ資格や介護分野の経験を評価してくれる職場を探すなら、転職サイト・エージェント本音比較も参考にしてください。

結論としては、すべてのPT・OTに必要な資格ではありませんが、介護分野や訪問、管理職、地域連携に関わる人には取得する価値があります。

私自身、資格を取得しても給料は上がりませんでしたし、仕事の依頼が急に増えたわけでもありません。

試験勉強だけでなく、合格後の実務研修にも時間と費用がかかりました。

それでも、介護保険制度への理解が深まり、利用者さんの生活やケアマネの立場を考えやすくなったことは、理学療法士として働くうえでも役立っています。

資格は、持っているだけでは大きな武器になりません。

しかし、自分の働き方や目指す方向と合っていれば、将来のキャリアを支えてくれる選択肢になります。

「周りが取っているから」ではなく、自分はケアマネ資格を取って何をしたいのかを考えてから挑戦してみてください。

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この記事を書いた人

リハ助マンのアバター リハ助マン 現役理学療法士(運動器認定PT・ケアマネ)

理学療法士歴15年以上の現役PT。臨床・訪問リハビリ・後輩教育・実習指導を経験し、運動器認定理学療法士・ケアマネジャーの資格を保有。本業のかたわらアルバイト・ブログ・Web制作などの副業を実践中。理学療法士の収入・キャリア・働き方を、経験にもとづいて本音で発信しています。

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