「理学療法士と作業療法士、どっちを目指せばいいんだろう」と迷っていませんか。進路を決める学生さんや、社会人からの進学を考えている方から、よく相談される質問です。
先に結論を言うと、給料・国家試験・就職のしやすさに大きな差はありません。選ぶ基準は「どんな対象に、どんな関わり方をしたいか」です。
私は理学療法士として10年以上働き、職場では作業療法士と一緒にリハビリに取り組んできました。この記事では、両者の違いと選び方の判断軸を、現場で見てきた実感も交えて解説します。
結論:待遇では選べない。違いは「対象と関わり方」
理学療法士(PT)と作業療法士(OT)は、同じリハビリテーション専門職で、養成課程も国家試験も就職先も重なる部分が多い資格です。年収や就職率を比較して決めようとしても、実際にはほとんど差がつきません。
だからこそ、「自分がどんなリハビリをしたいか」で選ぶのが、いちばん後悔しない方法だと考えています。まず、仕事内容の違いから見ていきましょう。
理学療法士と作業療法士の4つの違い
1.仕事内容:基本動作のPT、生活動作と心のOT
理学療法士は、起き上がる、立つ、歩くといった「基本動作」の回復を主に担当します。運動療法や物理療法を使い、体の機能そのものにアプローチする場面が多い仕事です。
作業療法士は、食事、着替え、家事、仕事、趣味といった「生活の中の活動(作業)」の回復を担当します。体だけでなく、心のリハビリテーションに関われるのも作業療法士の特徴です。
実際の現場では重なる部分も多いのですが、「歩けるようになる過程を支えたい」ならPT、「その人らしい生活を取り戻す過程を支えたい」ならOTがイメージに近いと思います。
2.働く領域:精神科分野があるのはOT
病院、クリニック、介護保険分野、訪問リハビリなど、働く場所の多くは共通しています。大きく違うのは精神科領域で、精神科病院やこころのリハビリテーションは作業療法士の専門分野です。精神科分野に興味があるなら、作業療法士を選ぶ理由になります。
3.給料:統計上ほぼ同じ
厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」では、理学療法士も作業療法士も全国平均年収は443.6万円と掲載されています。賃金統計上、両職種は同じ区分で集計されており、同じ職場であれば給与体系もほぼ同じです。どちらを選んでも、給料面での有利・不利はほとんどありません。
厚生労働省「job tag 理学療法士」/厚生労働省「job tag 作業療法士」
年収の詳しい内訳や収入を上げる方法は、理学療法士・作業療法士の年収で解説しています。
4.国家試験の合格率:どちらも高水準
2026年3月に発表された第61回国家試験の結果は次のとおりです。
| 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | 新卒合格率 | |
|---|---|---|---|---|
| 理学療法士 | 12,436人 | 11,156人 | 89.7% | 94.9% |
| 作業療法士 | 5,426人 | 4,947人 | 91.2% | 96.6% |
年によって多少の変動はありますが、近年はどちらも合格率が高い水準で推移しています。新卒に限れば9割以上が合格しており、学校でしっかり勉強すれば十分に合格を狙える試験です。逆に言えば、入学してから勉強しない人は普通に落ちます。私も学生時代、直前期は人生でいちばん勉強しました笑
どっちを選ぶ?3つの判断軸
- 体の回復そのものに興味がある:歩行や動作の分析、運動療法に魅力を感じるなら理学療法士が向いています。
- 生活や趣味・仕事への復帰を支えたい:その人の生活背景まで含めて関わりたいなら作業療法士が向いています。
- 精神科領域に関心がある:こころのリハビリに関わりたいなら、選択肢は作業療法士です。
オープンキャンパスや病院見学で、実際にPTとOTの仕事を見比べてみるのもおすすめです。パンフレットの説明より、現場の雰囲気のほうがずっと参考になります。
現役理学療法士から見た本音
10年以上この仕事をしてきて感じるのは、PTとOTのどちらを選んだかより、「資格を取ったあとにどう働くか」のほうが、はるかに人生への影響が大きいということです。
同じ理学療法士でも、職場、分野、役割、副業の有無で、収入も働き方も大きく変わります。これは作業療法士も同じです。入口の選択で悩みすぎるより、「選んだ道でどう専門性を育てるか」を大切にしてほしいと思います。
将来性が気になる方は、理学療法士の将来性も参考にしてください。
よくある質問
- 途中で理学療法士から作業療法士へ変わることはできますか?
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資格は別なので、変わるには作業療法士の養成校へ入り直し、国家試験に合格する必要があります。時間も費用もかかるため、進学前にしっかり考えておきたいポイントです。
- 就職のしやすさに差はありますか?
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現状、どちらも求人はあり、大きな差はありません。ただし地域や分野によって求人の偏りはあるため、働きたい地域の求人状況を確認しておくと安心です。
- 数が多いのはどちらですか?
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理学療法士のほうが多く、国家試験の受験者数も理学療法士が作業療法士の約2倍です。そのぶん職場の同僚や勉強会などPT同士のつながりは作りやすい環境があります。
まとめ:待遇ではなく「やりたいリハビリ」で選ぼう
理学療法士と作業療法士は、給料も合格率も就職も大きな差はありません。基本動作の回復に関わりたいなら理学療法士、生活・こころのリハビリまで関わりたいなら作業療法士。この軸で選べば、どちらを選んでも間違いではありません。
そして資格を取ったあとは、働き方と収入を自分で育てていく段階が始まります。このサイトでは、理学療法士のキャリアや副業についても発信しているので、進路が決まったらまた読みに来てください。
