理学療法士として副業を始めたいと思ったら、最初に確認したいのは「勤務先が副業を認めているか」です。副業が一律に禁止されている、あるいは反対に何をしても自由だと決めつけず、就業規則と雇用契約、届出・許可の手続きを順番に確認しましょう。
結論から言うと、勤務先に隠す方法を探すより、ルールに沿って始める方が長く安全に続けられます。この記事では、病院・クリニック・介護事業所などで働く理学療法士や作業療法士が、副業前に確認すべきポイントを分かりやすく整理します。
理学療法士の副業は法律で禁止されている?
民間の医療法人や企業で働く理学療法士について、法律が副業を一律に禁止しているわけではありません。厚生労働省のモデル就業規則でも、副業・兼業をできることを基本にしつつ、一定の場合に勤務先が禁止または制限できる形が示されています。
- 本業の勤務に支障が出る場合
- 業務上の秘密が漏れる場合
- 勤務先の名誉や信用を傷つける場合
- 競業によって勤務先の利益を害する場合
つまり、「副業は自由だから確認不要」でも「就業規則に禁止とあれば必ず何もできない」でもありません。副業の内容、勤務時間、本業への影響などを踏まえて判断されます。まずは所属先のルールを確認してください。
参考:厚生労働省「副業・兼業」
公立病院などで公務員に該当する場合は要注意
公立病院や自治体の施設で働いていて地方公務員に該当する場合は、民間勤務とは扱いが異なります。地方公務員法上の制限があり、報酬を得る仕事には任命権者の許可が必要となることがあります。
「病院で働いているから公務員」「会計年度任用職員ならすべて同じ」とは限りません。自分の身分と適用される規程を、人事・総務などの担当部署へ確認しましょう。
勤務先で副業できるか確認する5つの手順
1.自分の雇用形態と身分を確認する
正職員、パート、契約職員、派遣、公務員など、雇用形態や身分によって確認先と手続きが変わります。雇用契約書や労働条件通知書を手元に用意しましょう。
2.就業規則と雇用契約を読む
就業規則の「服務規律」「副業・兼業」「許可・届出」「懲戒」などを確認します。常時10人以上の労働者を使用する事業場では就業規則の作成と届出が必要ですが、10人未満でも雇用契約や院内規程にルールが定められていることがあります。
就業規則の場所が分からなければ、人事・総務へ「就業規則を確認したい」と尋ねれば大丈夫です。副業の話をする前に、まず規則そのものを読む方法もあります。
3.届出制か許可制かを確認する
「副業可」と書かれていても、事前届出が必要な職場があります。申請書の提出期限、必要事項、更新の有無も確認しましょう。口頭で了承を得ただけにせず、申請書の控えやメールなど記録が残る形にしておくと安心です。
4.副業の内容と時間を整理する
勤務先へ確認するときは、副業先、仕事内容、契約形態、勤務日数、時間、競業の有無を説明できるようにします。必要な情報は伝えつつ、記事やSNSで勤務先名、患者情報、院内情報を公開しないことも重要です。
5.不明点は担当部署へ確認する
規程を読んでも判断できないときは、人事・総務や上司へ確認します。副業を始めてから問題になるより、始める前に相談した方が調整しやすいです。
副業を勤務先に隠せるとは考えない
副業が知られる経路は、税金だけではありません。同僚との会話、SNS、勤務時間の重複、疲労による本業への影響、顧客や患者との接点など、さまざまです。「この方法なら絶対にバレない」とは言えません。
私自身、以前は税金の仕組みを単純に考えていた時期がありました。しかし、制度を調べるほど、隠し方を考えるより先に職場の手続きと申告義務を確認すべきだと感じています。
特に医療職は、守秘義務と患者・利用者の安全を最優先にする必要があります。職場の端末や資料、患者情報、院内で撮影した画像を副業に使ってはいけません。勤務先で得た非公開情報や人間関係を、ブログやSNSの材料にすることも避けましょう。
副業の労働時間と体調管理にも注意する
雇用される形で複数の勤務先を掛け持ちする場合は、労働時間の通算が関係することがあります。勤務先から副業時間の申告を求められることもあるため、シフトと実労働時間を記録しておきましょう。
夜間や休日の副業で睡眠が不足し、本業の判断や患者対応に影響すれば、副業を続ける意味がありません。収入だけでなく、休息時間、家族との時間、学習時間まで含めて無理のない範囲を決めることが大切です。
「副業は20万円以下なら申告不要」は正確ではない
よく聞く「副業が20万円以下なら申告不要」という説明は、すべての人と税金に当てはまるわけではありません。給与を1か所から受け、年末調整をしている人などについて、一定の要件を満たせば所得税の確定申告が不要になる例外があります。
副業が業務委託やブログなどの場合、一般に判定するのは売上ではなく、売上から必要経費を差し引いた「所得」です。一方、副業先から給与を受け取る場合は計算や要件が異なります。また、医療費控除などのために確定申告をする場合は、20万円以下の副業所得も合わせて申告する必要があります。
さらに、所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告が必要になる場合があります。自治体や収入の種類によって確認事項が異なるため、国税庁、税務署、住んでいる自治体の案内で確認してください。
参考:国税庁「給与所得者で確定申告が必要な人」/さいたま市「副業の所得が20万円以下の場合でも申告は必要ですか?」
就業規則で副業が禁止・制限されていたら
禁止や制限がある場合、まず理由と許可の例外がないかを確認します。仕事内容が競合しない、勤務時間が重ならない、本業に支障を出さないと説明できれば、個別に許可される可能性もあります。
- 人事・総務へ許可条件を確認する
- 副業の内容や時間を調整して申請する
- 労働組合や公的な労働相談窓口へ相談する
- どうしても両立できない場合は、長期的に働き方や職場を見直す
規程に反してこっそり始めると、収入以上に本業の信用を失うおそれがあります。焦って始めず、先に安全な条件を整えましょう。
理学療法士が副業前に確認するチェックリスト
- 雇用形態と公務員該当性を確認した
- 就業規則と雇用契約を読んだ
- 届出・許可の要否と期限を確認した
- 競業、守秘義務、患者情報の扱いを確認した
- 本業と副業の時間を記録できるようにした
- 所得税と住民税の申告方法を確認した
- 睡眠や体調を崩さない上限を決めた
よくある質問
就業規則に副業の記載がなければ自由に始めてよいですか?
記載が見つからなくても、雇用契約や別の院内規程に定めがある場合があります。届出の要否を人事・総務へ確認してから始めるのが安全です。
単発アルバイトでも申請が必要ですか?
勤務先の規程によります。回数が少なくても、他社に雇用されることや報酬を得る活動自体を届出対象としている職場があります。
ブログやアフィリエイトも副業に含まれますか?
収益を目的とする継続的な活動は、副業として扱われる可能性があります。職場名や患者情報を出さないことはもちろん、規程上の届出対象かも確認しましょう。
まとめ:副業は就業規則の確認から始めよう
理学療法士が副業を始めるなら、最初の一歩は案件探しではなく、就業規則と手続きの確認です。雇用形態、副業の内容、勤務時間、守秘義務、税金を整理し、必要な届出や許可を済ませましょう。
副業は収入と経験を広げる手段になりますが、本業の信用や患者・利用者の安全を損なってはいけません。無理のない範囲で、長く続けられる形を選んでください。
※この記事は一般的な情報をまとめたものです。個別の労務・税務判断は、勤務先の担当部署、税務署、自治体、社会保険労務士、税理士などへご確認ください。
