理学療法士として働き続けて、本当に将来は大丈夫なのか。資格を取れば安泰だと思っていたのに、給料や人員の増加を見て不安になっている方もいると思います。
結論からいうと、理学療法士の仕事そのものがなくなる可能性は低い一方、資格を持っているだけで安定や収入増が約束される状況でもありません。
高齢化や重度化への対応、介護予防、在宅支援など、理学療法士が必要とされる場面は残ります。ただし、養成数が多く、地域や職場によって需給差があるため、自分の強みと働き方を早めに考えることが大切です。
理学療法士の将来性は「仕事はあるが、安泰とは限らない」
将来性を考えるときは、「求人があるか」と「希望する条件で働き続けられるか」を分けて考える必要があります。
厚生労働省の職業情報提供サイトjob tagでは、高齢化や障害の重度化によりリハビリテーションの重要性が高まり、理学療法士は依然として不足していると説明されています。病院や介護施設だけでなく、介護予防、訪問、スポーツなどにも仕事は広がっています。
一方、厚生労働省が2019年に示したPT・OTの需給推計では、一定の前提のもとで、2040年頃の供給数が需要数の約1.5倍になるという結果でした。これは将来を確定する数字ではなく、政策や働き方の変化で見直される「推計」です。しかし、理学療法士が増え続ける中で、職場選びやキャリア設計が今まで以上に重要になる根拠の一つにはなります。
つまり、「理学療法士は余るから終わり」とも、「国家資格だから一生安泰」とも言い切れません。地域、領域、雇用条件によって状況が違うため、自分が働きたい場所で何を求められているかを見る必要があります。
数字から見る理学療法士の現状
理学療法士の人数は増え続けている
日本理学療法士協会の統計では、2026年3月末の会員数は144,943人です。これは免許保有者全体ではなく協会員数ですが、職種の規模を知る目安になります。
また、job tagでは直近の国家試験合格者を年11,373人(2025年2月時点)としています。毎年多くの新人が加わるため、勤務先によっては「資格があること」だけでは差がつきにくくなるでしょう。
求人はあるが、給料の伸び方は職場で変わる
job tagに掲載された令和7年賃金構造基本統計調査ベースの年収は、全国平均443.6万円、平均年齢36.2歳です。ただし、地域、経験年数、役職、勤務先によって差があり、この平均がすべての理学療法士に当てはまるわけではありません。
理学療法士は就職しやすさに強みがありますが、同じ職場で臨床を続けるだけで大きく昇給するとは限りません。私自身、臨床力だけでなく、教育や業務改善、マネジメントなど、組織の中で担える役割を増やすことが評価につながると感じてきました。
資格取得にかかる費用や収入とのバランスが気になる方は、理学療法士はコスパが悪いのかを考えた記事も参考にしてください。
理学療法士の需要が期待できる分野
- 高齢者医療と介護
- 訪問・在宅支援
- 介護予防とフレイル対策
- 内部障害や重症患者へのリハビリテーション
- 地域連携、教育、マネジメント
- スポーツや健康増進など保険外の領域
ここで大切なのは、流行している分野へ無理に移ることではありません。自分の経験と地域のニーズが重なる場所を探すことです。臨床で得た評価・説明・支援の力は、領域が変わっても土台になります。
将来に備えて今からできる5つのこと
1.臨床の基礎を固める
新しい資格を増やす前に、評価から目標設定、介入、再評価までを説明できる力が必要です。患者さんや他職種に「なぜこの支援をするのか」を伝えられることは、どの職場でも価値があります。
2.得意領域を一つ深める
運動器、脳血管、内部障害、地域、介護予防など、自分の経験が蓄積している領域を一つ決めます。資格は目的ではなく、実践と学習を整理する手段として使うのがおすすめです。
3.教育とマネジメントを経験する
後輩指導、学生指導、業務改善、チーム運営は、人数が増える職場ほど必要になります。最初から管理職を目指さなくても、会議をまとめる、手順を整える、課題を数字で示すといった小さな経験が将来の選択肢を増やします。
4.デジタルとAIを道具として使う
AIが理学療法士を丸ごと置き換えると断定できる根拠はありません。ただし、情報収集、文書の下書き、データ整理、教育資料の作成などは効率化が進みます。個人情報や勤務先のルールを守りながら、道具を使える人のほうが仕事を進めやすくなるでしょう。
5.収入源と働き方の選択肢を増やす
転職や副業は、不安になってから急いで始めるより、余裕がある時期に情報を集めるほうが安全です。すぐに職場を辞める必要はありません。求人を見て自分の市場価値を確認したり、小さな副業を試したりするだけでも選択肢は増えます。
副業を検討する場合は、理学療法士におすすめの副業と、副業を長く続けるコツから確認してみてください。
転職は「逃げ」ではなく、条件を比較する手段
今の職場に不満がなくても、地域の求人、給与、休日、教育体制を知っておくと、自分の条件を客観的に見られます。転職するかどうかは、情報を集めてから決めれば十分です。
各エージェントの特徴と、「採用する側」として付き合ってきた経験から見た使い方のコツは、理学療法士の転職サイト・エージェント本音比較にまとめています。将来性への不安が「今の職場でいいのか」という悩みなら、理学療法士を辞めたいあなたへで悩みの整理から始めるのがおすすめです。
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理学療法士の将来性に関するよくある質問
- 理学療法士は将来なくなる仕事ですか?
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なくなる可能性は低いと考えます。対人評価、動作の観察、安全管理、家族や多職種との調整など、人が担う必要性が高い仕事が多いためです。ただし、記録や資料作成などはデジタル化が進むでしょう。
- 理学療法士は今後余りますか?
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厚生労働省の2019年の推計では、2040年頃にPT・OTの供給数が需要数を上回る結果が示されています。ただし、全国一律ではなく地域や領域で差があり、推計は前提条件によって変わります。「余る」と一言で決めず、働きたい地域の求人を確認することが大切です。
- 将来のために最初に何をすればよいですか?
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まずは現在の臨床経験、得意分野、任されている役割、希望する収入と働き方を書き出してください。そのうえで求人を見て、足りない経験やスキルを一つずつ補うと、資格集めだけで終わりにくくなります。
まとめ|理学療法士の将来は今の準備で変えられる
理学療法士の需要は残りますが、人数の増加や制度変更を考えると、国家資格だけに安心しきるのはおすすめできません。
- 臨床の基礎を固める
- 得意領域を深める
- 教育・マネジメントを経験する
- デジタルとAIを安全に使う
- 転職や副業を含めて選択肢を増やす
将来性を「明るい・暗い」の二択で終わらせず、自分が選べる状態を作ることが大切です。私も理学療法士として働く中で、臨床以外の役割や副業を少しずつ経験してきました。最初から大きく変える必要はありません。今日できる小さな準備から始めていきましょう。
