「登録理学療法士って、取っても意味ないんじゃない?」
「更新の時期が来たけど、正直めんどう。更新しないとどうなるの?」
2022年度に始まった登録理学療法士は、2026年度が初めての更新年度です。制度開始時に取得した人は、2027年3月末までに更新要件を満たす必要があります。職場でも「どうする?」という会話が増えているのではないでしょうか。
私は協会に入会して認定理学療法士を取得し、後輩教育や採用にも関わってきました。この記事では、日本理学療法士協会の公式情報をもとに、登録理学療法士の仕組み・更新しない場合の扱い・50ポイントの集め方を整理したうえで、「意味ない」と言われる理由と、それでも持っておく価値について現役PTの本音でお伝えします。
※制度の内容は2026年10月時点で日本理学療法士協会の公式サイトに掲載されている情報をもとにしています。制度は見直しが続いているため、最新情報は必ず協会の公式サイトやマイページで確認してください。
結論:給料は上がらないが、指導役と認定への「通行証」になる
先に結論です。登録理学療法士は、取ったからといって給料が自動的に上がる資格ではありません。その意味では「意味ない」と感じる人がいるのも自然です。
一方で、新人の実地研修(OJT)を担当できることと、認定・専門理学療法士へ進むための前提条件であることは、はっきりした実益です。後輩指導をする立場になる人や、将来認定を目指す人は、更新しておいたほうが後悔は少ないと考えます。
| 項目 | 内容(2026年10月時点) |
|---|---|
| 有効期間 | 5年間(年度途中の取得は取得年度を含む) |
| 更新要件 | ①50ポイントの取得 ②更新時研修の受講 |
| 期限 | 更新年度の3月末まで(マイページへの反映が必要) |
| 更新手続き | 要件を満たせば年度末に自動更新(申請不要) |
| 更新時研修 | eラーニング・受講費無料(2026年度) |
| 満たせなかった場合 | 猶予措置期間に入る(6〜7年目・追加要件あり) |
登録理学療法士とは?前期・後期研修のおさらい
登録理学療法士は、日本理学療法士協会の生涯学習制度の土台になる資格です。卒後5年間を「義務教育的な位置づけ」とし、前期研修・後期研修を修了した人が登録理学療法士になります。協会は、幅広い障害像に対応できる「ジェネラリスト」の育成を目的に掲げています。
| 前期研修 | 後期研修 | |
|---|---|---|
| 最短期間 | 入会後 最短2年 | 前期修了後 最短3年 |
| 内容 | 座学22コマ+実地研修32コマ(計54コマ) | 座学51コマ+実地経験3年(36か月) |
| 受講方法 | 士会主催研修会またはeラーニング(座学)、職場でのOJT(実地研修) | 研修会・eラーニング、症例検討会など |
後期研修の実地経験は、協会に「在会」していて、マイページに勤務先を登録していれば、システム上で自動的に月数がカウントされます。つまり、取得も更新も、協会の会員であることが前提の制度です。協会に入るかどうか迷っている人は、理学療法士協会は入るべき?年会費・メリットと入らない場合もあわせて読んでみてください。
登録理学療法士が「意味ない」と言われる3つの理由
1.取っても給料が上がるわけではない
一番大きいのはこれです。登録理学療法士は協会の生涯学習制度の資格で、取得しただけで基本給が上がる仕組みではありません。資格手当や昇格要件に入れている職場もありますが、扱いは職場によってまちまちです。
2.5年ごとの更新に手間とお金がかかる
更新には50ポイントと更新時研修が必要で、さらに協会の年会費も払い続けることになります。忙しい臨床の合間に研修を探すのは、正直なところ負担です。「協会費を払ってまで続ける価値があるのか」と感じるのは、もっともな疑問だと思います。
3.患者さんや求人票で目にする機会が少ない
認定理学療法士と比べても、登録理学療法士は外から見えにくい資格です。患者さんに「登録理学療法士です」と伝える場面はほぼありませんし、求人票の必須条件に書かれていることも多くはありません。目に見える場面が少ないぶん、価値を実感しにくいのだと思います。
それでも持っておく意味(指導役・採用側の目線から)
新人の実地研修(OJT)を担当できる
前期研修の実地研修は、所属施設で登録理学療法士が実施したOJTが履修として認められる仕組みです。職場に登録理学療法士がいないと、新人の実地研修を自施設で回しにくくなります。
後輩教育に関わってきた立場から言うと、ここは地味ですが職場にとって大事なポイントです。数年目になって新人を任されるようになると、「登録を切らしていたせいで、自分のOJTを新人の実地研修として認めてもらえない」という事態は避けたいところです。
認定・専門理学療法士への前提条件になる
認定理学療法士・専門理学療法士は、登録理学療法士を「基盤」とする制度です。認定の取得要件となる研修は、登録理学療法士の取得後に申し込むことになっています。また、認定・専門を持っている人も、登録理学療法士は別に更新が必要です。
しかも協会のFAQでは、登録理学療法士の更新ができなかった場合、認定理学療法士・専門理学療法士の資格も失効するとされています。すでに認定を持っている人にとっては、登録の更新は「おまけ」ではなく必須です。
今は認定に興味がなくても、数年後に「やっぱり取りたい」と思ったときに登録が切れていると、遠回りになります。選択肢を残しておく意味で、更新しておく価値はあります。
採用側から見ると「判断材料の一つ」
採用に関わる立場で言えば、登録理学療法士を持っているかどうかだけで合否が決まることはまずありません。ただ、履歴書に書いてあれば「卒後研修をきちんと修了し、学び続けている人」という判断材料の一つにはなります。特に新人教育の体制を整えたい職場では、指導役を任せられるかどうかの目安として見られることがあります。
登録理学療法士を更新しないとどうなる?
期限までに満たさないと「猶予措置期間」に入る
更新年度の年度末(3月末)までに要件を満たせなかった場合、すぐに資格がなくなるわけではありません。協会は、制度の認知状況や2029年度の制度見直しを踏まえて猶予措置を設けています。登録理学療法士の取得から6〜7年目の年度中は、登録理学療法士としての権利が維持されます。
ただし、猶予期間中に更新するには、通常の要件に加えて次の追加要件があります。
| 時期 | 追加要件 |
|---|---|
| 6年目 | 以下のうち1つ以上に参加 |
| 7年目 | 以下のうち2つ以上に参加 |
- 日本理学療法学術研修大会への参加
- ブロックでの学術大会・学術集会への参加
- 都道府県理学療法士学会・学術集会への参加
同じカテゴリ内での複数回参加(たとえば県学会を2回)でも可とされています。猶予期間中に要件をすべて満たした場合は、その年度末に更新され、新しい更新認定日は翌年度の4月1日になります。
協会の「生涯学習制度の見直し」資料では、猶予措置の期間を従来の「6年目の1年間」から延ばし、追加要件を上のように変える見直しが2027年4月1日適用とされています(2026年3月末までは対象者なし)。つまり、2026年度に初回更新を迎える人が要件を満たせなかった場合に、初めて対象になる仕組みです。
なお、追加要件も含めて満たせなかった場合の詳しい取り扱いは、2026年10月時点で「未定(決定次第案内)」とされています。猶予があるとはいえ、学会参加という追加の手間が増えるので、期限内に更新しておくのが一番ラクです。
休職などで難しい人は「更新延長制度」もある
産休・育休や病気療養など、さまざまなライフステージでも続けられるように、要件を満たす人は延長申請ができます。延長申請が認められると、有効期限が1年間延長されます。協会の資料では、延長は1回の更新につき最大2年までで、申請はマイページから決められた期間内に行う仕組みです。なお、休会しているだけでは延長の事由になりません。対象になる事由や申請期間は、協会の「延長申請について」のページで確認してください。
更新に必要な2つの要件
要件1:50ポイントの取得
活動対象期間(認定日・更新日から更新年度の3月末まで)に50ポイントを取得します。注意したいのは次の3点です。
- マイページに反映されて初めてカウントされる:参加していても、年度内にマイページへ反映されていなければ要件を満たしたことになりません。反映は主催者側の作業なので、期限ギリギリの研修は要注意です。
- 次回への繰り越しはできない:50ポイントを超えて取っても、次の更新には使えません。
- 認定・専門の更新点数とは別物:認定・専門理学療法士の更新に必要な100点とは重複して使えません。
要件2:更新時研修の受講
更新年度にeラーニングで受講します。2026年度の概要は次のとおりです。
| 対象者 | 2022年度(2022年4月1日〜2023年3月31日)に登録理学療法士を取得した人 |
| 受講方法 | eラーニング |
| 受講費 | 無料 |
| 申込方法 | マイページ(セミナー番号:156270) |
| 申込期間 | 2026年4月16日〜2027年3月30日 |
| 視聴期間 | 2026年4月16日〜2027年3月31日 |
eラーニングの申込・受講は在会会員のみです。2つの要件を満たせば、年度末に自動で更新されるので、別途の申請は必要ありません。
50ポイントの集め方|忙しい人ほど「機関誌の問題解答」
ポイントの取り方は大きく4つあります。
| 方法 | ポイントの目安 | ひとこと |
|---|---|---|
| 機関誌を利用した問題解答 | 毎号5問・全問正解で1ポイント | 無料。JPTANEWS(年6回)とUp to Date(年4回)が対象 |
| 講習会・研修会・eラーニング | 学習時間30分で0.5ポイント | 協会・士会・ブロック協議会・日本理学療法学会連合の会員団体の主催(共催)が対象 |
| 士会が承認した施設内研修会 | 開催時間に応じて付与 | 登録理学療法士が所属士会へ申請し、承認された研修会 |
| 学会への参加 | 開始〜終了時刻の時間に応じて付与 | 参加そのものが対象。発表は登録のポイント対象外(認定・専門の点数のみ) |
一番コスパがいいのは機関誌の問題解答
協会自身が「5年間毎号回答いただくことで、無料で50ポイント取得可能です」と案内しているのが、機関誌を利用した問題解答です。年10号×5年で50ポイントになる計算なので、毎号コツコツ解いておけば、それだけで要件1がほぼ片づきます。申し込みは、機関誌に掲載されているQRコードかセミナーIDから行います。
ただし、今から始める人は残りの号数が限られます。初回更新の人は、機関誌の問題解答に研修会やeラーニングを組み合わせて、不足分を埋めていくのが現実的です。研修会だけで50ポイントを集めると、単純計算で50時間分の受講が必要になります。
同じカリキュラムコードの研修は何回受けても加算されない
研修ごとに「カリキュラムコード」が決まっていて(2026年度時点で184コード)、ポイントはコードごとに集計されます。同じコードの研修に何回参加しても、ポイントは足し算されません。2025年9月以降は、同じコードの中で一番高いポイント数が認定されるルールです。
「同じテーマの研修ばかり受けていたら、思ったよりポイントが増えていなかった」というのはよくある落とし穴です。研修を選ぶときは、テーマ(コード)を散らすことを意識してください。なお、1〜15の区分ごとに最低何ポイント、という決まりはありません。
民間セミナーは基本的にポイント対象外
ポイントの対象になる研修会は、協会・士会・ブロック協議会・日本理学療法学会連合の会員団体が主催、またはこれらと共催するものです。民間企業のセミナーや動画サービスは、基本的に対象外と考えておくのが安全です。ポイント目的で申し込む前に、マイページのセミナー検索で探すか、主催者に確認してください。
2026年度が初回更新の人のチェックリスト
- マイページで、現在のポイント数と更新時研修の受講状況を確認する
- 更新時研修(セミナー番号:156270)を申し込み、早めに視聴を終える
- 不足ポイントを計算し、機関誌の問題解答+研修会で埋める計画を立てる
- 同じカリキュラムコードに偏っていないか確認する
- 3月に受ける研修は、年度内にマイページへ反映されるか主催者に確認する
- 休職などで難しい場合は、延長申請の対象になるか確認する
年度末は研修の申し込みが集中しやすいので、年明けまでに残りのポイントを見える化しておくと安心です。
更新するか迷っている人へ(現役PTの本音)
私の考えとしては、次のどれかに当てはまる人は更新しておくのがおすすめです。
- 新人や後輩の指導を任されている、または今後任されそう
- いつか認定・専門理学療法士を取るかもしれない
- 病院など、協会の研修体制を重視する職場で働き続けるつもり
反対に、協会を退会する予定がある人や、指導・認定に関わる予定がまったくない人にとっては、更新の優先度は高くありません。ただ、失効した後の扱いはまだ決まっていない部分もあるので、「迷っているなら、機関誌の問題解答だけは続けておく」くらいの軽い関わり方で、選択肢を残しておくのがおすすめです(更新するには、ポイントとは別に更新時研修の受講も必要です)。
そもそも研修に出る時間が取れない、学会参加を応援してもらえない、という職場環境の問題を感じている人もいるかもしれません。研修支援の手厚さは職場によって大きく違うので、働き方そのものを見直したい人は理学療法士の転職サイト・エージェントおすすめ比較も参考にしてください。
登録理学療法士に関するよくある質問
- 更新の申請はいつ、どこでするの?
-
申請は不要です。50ポイントの取得と更新時研修の受講という2つの要件を満たせば、更新年度の3月末に自動的に更新されます。
- 余ったポイントは次回の更新に使える?
-
使えません。5年ごとの更新のため、必要数を超えて取得したポイントは次回以降に繰り越せません。また、登録理学療法士の取得前や前回の更新期間のポイントも使えません。
- 期限に間に合わなかったら、すぐに資格がなくなる?
-
すぐにはなくなりません。取得から6〜7年目は猶予措置期間として権利が維持されます。ただし、学会・学術集会への参加という追加要件があり、それも満たせなかった場合の扱いは2026年10月時点で未定とされています。
- 認定理学療法士を持っていれば、登録理学療法士の更新はいらない?
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いいえ、登録理学療法士も別途更新が必要です。登録理学療法士の更新ができなかった場合は、認定・専門理学療法士も失効するとされています。また、認定・専門の更新に必要な100点と、登録理学療法士の50ポイントは重複して使えないので、それぞれ計画的に取得しましょう。
- 協会を退会すると、登録理学療法士はどうなる?
-
協会のFAQでは、退会すると生涯学習履歴を含めて在籍時の会員登録情報が無効になり、再入会には新たに入会申請が必要とされています。一方、休会なら在籍したまま活動を休止する扱いで、生涯学習の履修履歴は保持されます。ただし、休会中に受講した研修はポイントにならず、休会だけでは更新延長の事由にもならないので注意してください。
まとめ:迷うなら「機関誌の問題解答」だけでも続けておこう
登録理学療法士は、給料に直結する資格ではありません。ただ、新人指導を担当できることと、認定・専門理学療法士への前提条件になることは、続けていく実益です。
2026年度が初回更新の人は、まずマイページでポイントと更新時研修の状況を確認し、2027年3月末から逆算して計画を立てましょう。協会の年会費や入会のメリットについては、理学療法士協会は入るべき?で詳しく解説しています。
